「はじめ・なか・おわり」に分ける場面

小学校の説明文教材を「はじめ・なか・おわり」の三段構成に分けることがしばしばあります。

 

「ありの行列」(光村・3年下)の「はじめ」と「なか」は、どこで分けるのがよいでしょうか。

よろしければ実際に分けてみてください。

 

おそらく「はじめ」を①段落、「なか」を②段落以降としたのではないでしょうか。

 

では、「ヤドカリとイソギンチャク」(東書・4年上)の「はじめ」と「なか」は、どこで分けるのがよいでしょうか。

よろしければ実際に分けてみてください。

 

これまでにこれらの問いを学生にも何度か投げかけたことがあります。

そのとき、多くの学生はまず、「はじめ」を①~②段落、「なか」を③段落以降と分けていました。

しかし、少し時間をかけて考えてみると、「はじめ」を①段落、「なか」を②段落以降と分ける学生が増えていきました。

 

なぜこのようなことが生じるのでしょうか。

「ありの行列」の場合、①段落の問いに対する答えが「おわり」に位置する最終段落と対応しています。そのため、この文章は「はじめ」が問い、「おわり」がその答え、そして、「なか」がその説明という分け方が自然なように思えます。

「ヤドカリとイソギンチャク」も「ありの行列」のように「はじめ」に問いがくると考えて段落分けをするのですが、そうすると、「ヤドカリとイソギンチャク」の②段落の問いが、「おわり」に位置する最終段落と対応しないことに気づきます。

そして、この文章では、問いが他の段落(⑦・⑩)にもあります。よく読むと、問い①ー答え①、問い②ー答え②、問い③ー答え③という構成になっています。そこで、「はじめ」を話題提示と捉えて、問いー答えの連続を「なか」とするようになるのです。

 

このように分けるのがよいように思いますが、「はじめ」に問いがなくていいのかと納得いかない人もいます。しかし、「はじめ」に問いがくると定義づけられているわけではありません。というより、「はじめ・なか・おわり」をどのように分けたらよいかの基準は明確ではありません。

また、三段の構成ではなく、四段や五段の構成の文章もあるのではないかと疑問もでてくる人もいます。

このように考えていくと、「はじめ・なか・おわり」に分けることができるのか、そして、もし分けられたとして分ける意味があるのかと疑問がでてきます。

私は「はじめ・なか・おわり」に分ける意味が全くないとまでは考えていませんが、ただ分けるだけだとほぼ意味がなく、分けるにしても段落の役割を考えるためといった目的のために行う必要があると考えています。